犬もわたしたち人間とおなじで、うんちは健康のバロメーターです。
血便や下痢がでるということは、からだの中でなんらかの異常がおこっている症状です。なにが原因でどのように対処するべきなのかをご紹介していきます。
すぐに動物病院に連れて行くべき症状もご紹介していますので、愛犬が血便や下痢がでたときの参考にしてみてください。
また、よく嘔吐をしてしまう愛犬も多いため、嘔吐の原因や対処法についてもご紹介しています。
愛犬に血便が出る7つの原因
ポイント
- 下痢や便秘
- 肛門系疾患
- 大腸系疾患
- 突発性大腸炎
- 出血性胃腸炎
- 中毒
- パルボウイルス感染症
原因によって血便の形状・色がことなりますので、原因別で血便の状態をみていきましょう。
パルボウイルス感染症「赤い水様便」
悪臭の強い赤い水様便が出た時は要注意です。パルボウイルスの感染症の場合、発症してから7日以内に死亡するケースが多いという非常にキケンな病気です。
血便が出る前に、嘔吐や下痢の症状があらわれた場合はすぐに動物病院でみてもらいましょう。パルボウイルス感染症は、年に1度のワクチン接種で予防することができるので、5種以上の混合ワクチンを接種するようにしましょう。
ワクチンでアレルギーが出てしまう子もいるので、アレルギーが少ない種類や、アレルギーを抑える薬もあるので、獣医師と相談してみてください。
下痢や便秘「便のまわりに血」
「下痢や便秘を繰り返しておしりが痛い…」なんて経験はありませんか?
犬も同じで、下痢や便秘を繰り返すことで肛門やそのまわりを傷つけて血便が出ることがあります。下痢や便秘を解消することで血便はおさまりますが、繰り返す場合は獣医師に相談してください。
肛門系疾患「便のまわりにあざやかな血」
肛門付近にポリープや腫瘍があったり、会陰(えいん)ヘルニアといって筋肉が低下することで排便が困難になっている場合もあります。
大腸系疾患「粘りのある血便や赤い水様便」
肛門系疾患と区別がつきにくい症状ですが、吐血や下血(どばっと出血すること)がある場合は、大腸系の疾患が疑われます。早期発見により完治する病気なので、すぐに診てもらいましょう。
突発性大腸炎「ゼリー状の血便」
アレルギーやストレス、食べすぎといったことが原因で起こる血便です。これらの場合は生活習慣を見直したり、アレルギー検査を行うことで改善することができますが、寄生虫の可能性も考えられるので一度検査をしてみてください。
出血性胃腸炎「ジャムのような血便」
胃や腸が炎症を起こしている状態で、小型犬に多い症状です。出血と下痢による貧血・脱水症状に注意が必要です。
中毒「血のまざった下痢」
犬に与えてはいけないネギなどを誤食してしまった場合におこります。その他にも下痢・嘔吐・震え・呼吸困難などといった症状もあり、命のキケンがあるのですぐに動物病院で処置をしてもらってください。
こんな犬の血便はすぐ動物病院へ!
- 黒いタール便
- 真っ赤な血がついた便
- 赤い水様便
- 肛門付近からの出血
血便にもいろいろな種類があります。血便の種類によって原因が異なりますが、上記のような血便が出たときは要注意です!どのような便の状態なのか、どのような病気の可能性があるのか詳しくみていきましょう。
黒いタール便
黒いドロッとした便は、胃や腸の炎症や腫瘍・感染症・中毒などが原因です。消化管の上部から大量出血を起こしている重度な症状です。
真っ赤な血がついた便
鮮血が混じっている場合は大腸が炎症を起こしている可能性があります。白い粘液がついている場合も大腸炎の可能性があるので、獣医師に相談してください。
赤い水様便
寄生虫や感染症による危険な状態で、命のキケンもある症状です。失血性ショックを起こす可能性もあるので、救急で診察してもらう必要があります。救急は、アイペット全国動物病院検索から調べることができます。
肛門付近からの出血
便秘によってうんちが硬くなり、肛門やそのまわりをきずつけて出血している可能性があります。腫瘍やポリープの可能性もあるので、くりかえす場合は動物病院で診てもらいましょう。
犬の血便や下痢の検査項目と費用
種類 | 費用 | 内容 |
---|---|---|
検便 | 500~ 1,000円 |
寄生虫などの感染症の可能性がある場合に行われます。 |
レントゲン検査 | 3,000円程度 | 胃の中や腸のなかに異物がないかを確認します。 |
パルボウイルス検査 | 4,000~ 6,000円 |
血液検査や検査キットで診断します。 |
超音波 エコー検査 |
4,000円程度 | 腸管のむくみなどがわかるので、炎症がないかを確認します。 |
血便や下痢の原因を調べるための検査項目と費用をまとめました。
検便の場合
血便や下痢がでた時に、うんちをどうしたらいいのか悩む飼い主さんが多いようですが、早く原因をみつけるためにもできるだけ持参しましょう。
感染症の可能性も考えられるので、便を拾う時は使い捨ての手袋をして、サランラップで包み、さらにビニール袋に入れていきましょう。難しい場合は写真で撮影しておくのもおすすめです。
愛犬に下痢がでる7つの原因
ポイント
- がん
- 食事
- ストレス
- 感染症
- 慢性腸炎
- 中毒
- 重度の胃潰瘍やすい炎
原因によって下痢の形状・色が異なりますので、原因別で下痢の状態をみていきましょう。
がん「血がまじっている下痢」
実は犬の病死のトップは人間と同じ「がん」なんです。胃や腸のがんの場合、便秘・下痢・嘔吐といった症状がみられますが、他の病気の症状ともよく似ていて、初期での発見は難しいといわれています。
そのほかの症状としては、腹水がたまっておなかがポッコリして食欲がなくなったり、呼吸が苦しそうなどといった症状がみられます。
しかし、腹水がたまった状態は末期の症状なのです。定期的な犬の健康診断(ドッグドック)を受けたり、愛犬の小さな変化に気づくことが早期発見につながるかもしれません。
食事「水分量のおおい軟便」
ドッグフードを切り替える時に、急に新しいフードにしませんでしたか?犬のフードの切りかえは慎重におこなう必要があるので、1週間から10日間くらいかけて新しいフードに切り替えていきます。
- 1日目は9:1の割合(旧フード:新フード)
- 2日目は8:2
- 3日目は7:3
と少しずつ増やしていきましょう。
ストレス「ゼリー状の下痢」
犬にとっては「毎日同じ」ということが安心できる生活なのですが、環境が変化したり、いつもと違うことが起こるといったストレスから下痢になってしまいます。
敏感な犬の場合、小さなことでもストレスになってしまいますので、愛犬の様子をチェックして、何にストレスを感じているのか把握しておきましょう。
感染症「緑やあざやかな色の血がついた下痢」
拾い食いなど、菌がついた食べものを口にすることで、サルモネラ菌やカンピロバクターなどの細菌に感染している可能性があります。
他にもパルボウイルスなどといったウイルス感染の可能性もありますので、飼い主としてできるワクチン予防を忘れないようにしましょう。
慢性腸炎「粘りのあるタール状の下痢」
大腸と小腸の粘膜が炎症をくりかえしている状態です。原因は細菌感染・寄生虫・アレルギーなどが考えられますので、突き止めることが必要となります。
この状態を放っておくと、ごはんを食べても腸から栄養が吸収できなくなり、栄養失調になりかねません。おなかがふくれている、口臭がきつい、水を大量に飲むといった症状があらわれている場合は、すぐに治療を開始しましょう。
中毒「ゼリー状の下痢」
下痢とあわせて嘔吐やぐったりした状態の場合、ネギ類やチョコレートといった犬に与えてはいけない食べものを誤食してしまった可能性があります。誤食は命にかかわる場合も十分にありますので、動物病院で適切な処置をうけてください。
重度の胃潰瘍やすい炎「黄色っぽい下痢」
胃潰瘍ときくとストレスをイメージしがちですが、病気や薬物投与、寄生虫といったことが原因で胃の粘膜が機能していない場合もあります。胃がいたくて背中をまるめたり、食欲不振・嘔吐・吐血・発熱などの症状がみられます。
また、すい炎が炎症をおこした状態が続いた場合、すい臓が少しずつ破壊されて糖尿病を発症することもあります。早期発見が大切なので、すぐに獣医師に相談してください。
こんな下痢はすぐ動物病院へ!
- 水様便
- 下痢にゼリー状の粘液がまじっている
- 下痢に粘膜や赤い血がまじっている
- 嘔吐をともなう下痢
便の形があるような軟便や、1日でおさまる下痢、下痢をしても食欲があるようなら様子を見ても大丈夫ですが、2日以上続くようなら動物病院で検査をする必要があります。
特に上記の症状は、腸炎・大腸炎・消化管に病気がかくれている場合があります。嘔吐をともなう場合は、胃腸炎・すい炎・大腸炎・パルボウイルス腸炎の可能性も考えられますので、すぐに検査をしてもらいましょう。
愛犬が嘔吐するときの対処法
犬の場合、嘔吐をしても他に症状がなく元気がある場合は様子をみて大丈夫です。食べすぎたり、空腹だったり、消化不良をおこしている時にも嘔吐をするので、吐いた後の愛犬の様子が肝心です。
ただし、ぐったりしたり血便や下痢など他の症状がみられる場合には、なにかしらの病気が隠れている可能性が高いので、すぐに動物病院へ連れて行ってください。
空腹で嘔吐している場合を除いては、半日から1日ほど水や食事を控えて嘔吐を繰り返さないようにします。嘔吐がおさまっていれば、徐々に水や食事を与えてください。ドライフードはお湯でふやかしてあげると消化しやすいですよ。
繰り返す血便・下痢はどうしたらいいの?
「動物病院で薬をもらったのに治らない…」
「血便や下痢が治ってもまたくりかえす…」
といった、愛犬の繰り返す症状に心配している飼い主さんが多いようです。なぜ完治しないのかというと、診断結果が十分ではない可能性があります。
病院の大きさによっては検査できる項目が限られていたり、しっかりとした検査を行わずに投薬をする獣医師もいます。愛犬が血便や下痢を繰り返す場合は必ず原因がかくれていますので、セカンドオピニオンを活用することをおすすめします。
その子にあった治療法を早期にみつけることで、痛みをとり除いてあげられたり、命を救うことができたりするので、完治しない場合はかならずセカンドオピニオンを活用してくださいね。
犬の血便、下痢の原因まとめ
今回は犬の血便・下痢・嘔吐についてご紹介しました。愛犬がこれらの症状を発症したら、どうしてもビックリしてしまいますよね。
「あれがダメだったのかな…?」「なにかの病気かな…?」と、不安な時間を過ごしているのではないでしょうか。
それでも愛犬を守れるのはあなただけ!便や嘔吐物の現物か写真、愛犬の様子の詳細などを獣医師に伝えることが、大きな判断材料になる場合があります。
愛犬の情報を伝えるなかで改善すべき点や、病気の可能性、治療方法などを考えてくれるので、これだけはしっかりと覚えておいてくださいね。